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デザイントレンド「ブルータリズム」

「ブルータリズム」と呼ばれるWebデザインのトレンドが面白いので、掘り下げてみようと思います。

 

● ブルータリズムとは

 

ウィキペディアによると、もともと1950年代に見られるようになった建築の形式で、冷酷で厳しい獣のような(すなわちブルータルな)手法を用いた表現主義だそうです。
「Brutal」とは冷酷で厳しい野生のさまを意味する形容詞で、「生身」(raw)を意味するフランス語に由来しています。

このブルータルデザインを採用しているWebサイトは、普段よく見かける洗練されたモダンなwebサイトとは真逆な、荒々しく主張の強い印象です。
特に決まった形があるわけではなく、とにかく自由で、大胆なレイアウト・色使いで、ユーザーフレンドリーであるとは言えないデザインです。
中には、90年代後半によく見かけたデザインのようなサイトもあります。
ただ、その前衛的とも見えるデザインは、古くもあり、斬新でもある表現様式ではないでしょうか。

Webのブルータリズムが広まったのは、チューリッヒ在住のクリエイティブディレクターPascal Deville氏が始めた原点回帰的なホームページを集めたBrutalist Websitesが始まりのようです。(Wasington Post

 

● ブルータリズムを取り入れたWebサイト

 

1.Badesaison

スイスのグラフィックデザイン会社のサイト。トップページに謎のキノコが現れ、カーソルが爆弾に変わり、キノコをクリックすると爆発するというシュールな展開に心奪われます。90年代後半に、こういうギミックのサイトがよくあった気がします。
画面右端の「ENTER」から入ると、この事務所の作品が見られます。このフレームで切り分けられたレイアウトも懐かしさを感じます。

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http://badesaison.ch/

 

2.COMME des GARÇONS

COMME des GARÇONS公式サイト。公式サイトオープン時から前衛的で、本物か偽物かなどユーザーを混乱させ、難解すぎると話題にもなっていました。
このサイトデザインの意図は、結局よくわからないのですが、荒々しい作りであること、見る人の利便性を考えないという点から見ると、ブルータルと言えるのではないでしょうか。

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http://www.comme-des-garcons.com/

 

3.Gucci Gift 2017

大胆な色使いと、大きなフォントなどで、荒々しい印象もありますが、全体的に緻密に作りこまれており、ブルータルデザインを上手に取り入れています。
細かいところに様々なギミックが仕込まれており、見ていて飽きがきません。ブルータリズムは、ファッションブランドと相性が良いのかも知れません。

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http://gift.gucci.com/

 

● まとめ

 

上記サイト以外にも、Brutalist Websitesには沢山の刺激的なデザインを見ることができます。 商業デザインで、ブルータリズムを取り入れるのは難しいとは思いますが、ミュージシャンやアーティスト、ファッションなどのサイトでは前衛的な表現で振り切ってみるのもアリかも知れません。また、表示速度の速さでも話題になっている俳優・阿部寛さんのホームページは、Brutalist Websitesに登録されていても違和感はなさそうです。

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http://abehiroshi.la.coocan.jp/

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記事を書いた人

kame

プロレス好きデザイナー