クロスメディアマネージメント

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テレビ朝日メディアプレックス・日本大学藝術学部産学協同総合講座

REPORT:授業レポート

第11回7月10日(土) ペパボのサービスの産まれ方
吉田健吾(株式会社paperboy&co. 取締役副社長)
 ライター 日本大学藝術学部文芸学科4年 栗原 雅貴

 7月10日、第11回のレポートです。

 この講座も残すところあと一回となりました。補講期間でありながらも、たくさんの学生であふれていました。
加藤先生は講義が始まって数分後に切れ味鋭いボケをゲストスピーカーに振り、余裕を見せつけていました。

 今回もTwitterを使えるように様々な工夫がされており、使用していた学生もいたようです。さらに今回はUstream配信もあり、日藝生以外からも数多く視聴されているようでした。

 第11回は株式会社paperboy&co.取締役副社長 吉田健吾先生にお越しいただきました。18歳で演劇にはまり、劇団を旗揚げして数年間活動をされていた経験をお持ちの吉田先生に、親近感を抱いた学生もいたのではないでしょうか。

 

 

 講義は3部構成で、それぞれ「株式会社paperboy&co.(以下ペパボ)の紹介」「私の紹介」「ペパボのサービスの産まれ方」となっていました。Ustream中継で講義を行った第8回から3週にかけてWEB関連の先生方に講義していただいたのですが、この3回の講義でWEBについて興味を持った学生も数多くいるはずです。クロスメディアという考え方において、WEBというものは大きな影響力があります。
 1部としてペパボさんの紹介でした。ペパボさんの企業理念は「もっとおもしろくできる」。ペパボさんのHPには企業理念の説明として「全ての企業活動において、他社よりもおもしろいものを目指します。」と記されています。そしてそのためのミッションとして「より多くの人に情報発信する喜びを提供する」ことを掲げています。この企業理念、ミッションは講義の後半でご紹介されたペパボさんのサービスに色濃く反映されていました。さて、今回のペパボさんの企業紹介ですが、前々回の面白法人カヤックさんと似ていると感じました。WEB業界で「おもしろい」はキーワードなのかもしれません。それでなくとも魅力的だと思う企業理念は心に残り、就職活動をしている、これからする学生たちには会社を選ぶ基準の一つになると思います。

 2部は「私の紹介」。これは吉田先生の経歴のご紹介でした。「何かの参考になれば」とNENPYO(http://nenpyo.org)というサービスを用いながら紹介していただきました。現在は取締役副社長として経営企画やマーケティング調査といったことから様々なことをされている吉田先生。18歳で演劇にはまり劇団を旗揚げし、23歳で大学を卒業した後、26歳にWEB系の会社に就職して、29歳でブログサービスを手掛け、その年に退社、そしてペパボさんに入社したそうです。興味深いのがペパボに入社したきっかけは、ブログサービスを一緒に手掛けた仲間がペパボ前社長と知り合いという縁だったということ。しかもインターネット上のやり取りがきっかけで入社されたとか。今はBlogやTwitterなどでより簡単に人と知り合いになる事が出来るようになりましたが、これが就職活動にもつながることもあるのですね。



 3部にペパボのサービスの産まれ方でした。
ここに触れる前に吉田先生にとても興味深いお話をしていただきました。この講座の名前がクロスメディアマネージメントということに関連して「インターネットはヴァーチャルか」という問いです。自身もインターネット上でのつながりでペパボに入社することになった吉田先生は「ヴァーチャルと割り切ってしまうのはもったいない」とおっしゃいます。インターネット上でのみのつながりも強固だと感じる学生も少なくないでしょう。さらによく言われる対比関係のものとしてreal/virtual、analog/digital、online/offlineを説明された後「atom/bit」という関係をお話しいただきました。あまり聞きなれていない対比ですがatomというのは物質を指し、bitというのは情報を指すということだそうです。身近な例として紙の本/電子書籍というものをあげていただきました。最近好んで使われることの多い表現らしいので、覚えておくといいかもしれません。
そしていよいよペパボさんのサービスについてです。ロリポップ!レンタルサーバーチカッパ!レンタルサーバーヘテムルムームードメイン30daysAlbumカラーミーショップ!プロカラメルグーペJUGEMブクログブクログのパブーといった有名サービスをご紹介していただきました。これらのサービスは社内コンペを勝ち取って産まれたものもあれば、お客様のご要望にお応えして産まれたものもあるそうです。どれもそれぞれに魅力があるので、気になった学生はWEBページを閲覧するといいでしょう。その結果おもしろそうと思うのであればガンガン使っていくといいと思います。
 そしてそのサービスができるまでのお話を、新卒採用向けの会社説明会で配布された教科書風デザインのこだわりパンフレットのページからご説明いただきました。基本的には、アイデア出し→調査・検討→ネーミング→デザイン→開発→社内レビュー→リリース→ヴァージョンアップと進んでいくそうです(ネーミング〜開発の順番は前後することもあるそう)。ペパボさんのサービスはデザイナーの裁量が大きいことも特徴だとも吉田先生はおっしゃっていました。そしてWEB系のサービスの特徴として知るべきことは「サービスの公開が終わりではない」ということ。サービスとして提供を開始したWEBサービスはヴァージョンアップや仕様変更などを通してユーザーにより使いやすいように変化していくそうです。
最後にキーワードから紹介するペパボ、ペパボで大切にしていることをご説明いただき質疑応答に移ります。
キーワードとしてスクリーンに表示された言葉はボケる、デザイン、担当制、エイプリルフール、モックアップ、社内SNS、アナログ感、全員企画職、分業の抑制…と様々なものが挙がっていました。社内SNSでいかにボケるのかを競い合っていた時もあり、エイプリルフールにはそれぞれのサービスが当日限定で仕様を変更し、企画は部署や役職に関係なく全員が考えるなどなど、解説をされている吉田先生はなんだかとても楽しそうでした。


  ペパボさんで大切にされていることは「みんなと仲良くすること」「ファンを増やすこと」「アウトプットすること」の3つでした。社内の誰とも仲良くすることは重要なことであり、社外の人にもファンが出来る様な社員やサービスであること。何よりアウトプットすることの大切さを熱心に吉田先生はおっしゃっていました。作品を作っても誰にも見てもらえない場合、その作品は存在するのか。クリエイティブの世界で勝負するならインターネットはすごく大切、というお話を日藝生はとても刺激的に感じたのではないでしょうか。
 講義終了後に加藤先生はペパボさんについて、サービスをつくる、おもしろいことをするという二つのバランスがとれているのではないか、とおっしゃっていました。このバランス感覚は日藝生にもとても重要であると思いました。誰にでも情報発信ができる今の時代、おもしろいことを発信するだけでなく、それがその受信者にどのように役立つかを学生のうちからもっと考えてもいいのかもしれません。


【サービス紹介】
ロリポップ!レンタルサーバー
業界トップクラスの利用人数を誇るレンタルサーバー。レンタルサーバーとはHPをつくる場所を貸す、というようなもの。月々263円〜という値段で使うことが出来る。
heteml(ヘテムル)
それぞれのサービスでTwitter公式アカウントを持っている中、一番とんがっていると吉田先生がおっしゃっていたレンタルサーバーのサービス。クリエイター向けとなっていて容量も大きい。Twitterアカウント@heteml。
カラーミーショップ!プロ
ロリポップ!ユーザーからHPで商品を販売できる機能が欲しい、との声から産まれたサービス。サイト内にショッピングカート(購買できるシステム)を作るサービス。
カラメル
ロリポップ!でカラーミーショップ!プロを使っている人を紹介するサイト。同サイトで去年世界一周雑貨バイヤーを募集し、話題になった。
グーペ
飲食店向けのホームページ作成サービス。サイトを盛り上げる豚のキャラクター「ミンチー」「ロースおじさん」も人気。
ムームードメイン
年間580円からドメインを取得できるサービス。ドメインとはURLの末尾にあるものを主に指す。.comや.jpなど。
ブクログ
自分が読んだ本を本棚のレイアウトに記録するサービス。iPhoneアプリ、Androidアプリもある。関連サービスとして電子書籍を制作、販売できるサービス「ブクログのパブー」もある。



受講した学生さんから授業後のアンケートや口頭での質問、Twitter等で意見、感想、質問を募集しました。そのたくさんのコメントの中から、一部抜粋して掲載します。
◆放送学科Iさん(アンケートより)
...デジタルもアナログも形式にすぎず、伝えるものは変わらないという意識に切り替えて、分野としてのデジタルではなく、手段としてデジタルに積極的に触れていきたいと思います。そうすることで、自分自身の視野も広げていけるのではないかと思います。
◆音楽学科Nさん(アンケートより)
...このクロスマネージメントの授業を受けているうちに、インターネットは交流の場や幅が広がっている、人とのつながりなしでは成立しないんだなと思いました。
◆映画学科Mさん(アンケートより)
...アイデアが利用者層と求められるモノ(需要)に対してどのように実現していくのか、形になるのかを見るのが楽しかったです。と同時にWebのコンテンツ・サービスでできることの無限大さも改めて実感しました。
◆放送学科Sさん(アンケートより)
ブクログのヘビーユーザーです。...ちょいちょい笑いをとってくるサービスの数々はどんな会社の中で産まれるのか気になっていました。少し覗き見できてよかったです。
敬称略

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