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テレビ朝日メディアプレックスが開発協力した、ネイティブ版縦型動画変換システム「ヨコタテくん」が2024年日本民間放送連盟賞技術部門で優秀賞を受賞いたしました

テレビ朝日メディアプレックス(以下、メディプレ)が開発協力した、ネイティブ版縦型動画変換システム「ヨコタテくん」が2024年日本民間放送連盟賞技術部門で優秀賞を受賞いたしました。

■日本民間放送連盟賞とは
質の高い番組がより多く制作・放送されることを促すとともに、CM制作や技術開発の質的向上と、放送による社会貢献活動等のより一層の発展を図ることを目的に、民放連が1953年に創設した賞です。
引用:https://www.j-ba.or.jp/award2024/#header

■ネイティブ版縦型動画変換システム「ヨコタテくん」とは
AIを使用して横型の動画を縦型の動画に自動で変換することができるシステムです。
これまでのように、スマートフォンの画面上で、アスペクト比16:9の横型動画のまま縮小させて動画を表示するのではなく、スマートフォンの画面全体に動画が表示されるよう、横型動画をアスペクト比9:16の縦型動画に変換することができるため、スマートフォンユーザーとの親和性が高い動画を生成することができます。

■開発を担当したメディプレのテクノロジーソリューション事業本部の2名にインタビュー
開発を担当したメディプレのテクノロジーソリューション事業本部の2名に、ヨコタテくんについてインタビューしました。

ーメディプレはヨコタテくんにどのように関わりましたか?

A・Mさん:
最初はテレビ朝日の担当者から、放送で使用した横型動画を、どうしたら縦型動画にできるかというお話をいただいたことがきっかけでヨコタテくんの開発が始まりました。
N・Sさん:
そうですね。フェーズ1で開発した簡易版縦型動画変換システムは、横型動画をそのままの縦横比率で縮小し、上下の空間に任意でテロップを入れていました。
今回開発したフェーズ2となるネイティブ版縦型動画変換システムでは、横型動画の必要な部分をトリミングして、縦型の画面いっぱいに表示することと、そこにテロップを入れられないかというお話をいただきました。

A・Mさん:
この件に関して、メディプレからテレビ朝日の担当者へ実現方法をご提案させていただき、それに沿って開発を実施したので、基本的には開発に関する全ての行程を私たちに一任していただきました。

ー「ヨコタテくん」の1番の特徴を教えてください。

A・Mさん:
地上波で放送される横型動画を、視聴者が着目するポイントに合わせて「AI」を活用し、自動で縦長動画に変換できることが1番の特徴です。
N・Sさん:
視聴者が着目するポイントはGoogleが提供しているAPIを使用して推測するよう開発しました。
今回は、報道番組で使われるということもあり、報道番組の制作担当者の視点をAIに機械学習させて自動変換ができるようにしたことで、切り抜きをする段階でどちらかを選べるようにしたことも特徴の一つです。
また、AIで切り抜いた箇所は手動修正することができる仕組みも用意しました。手動修正をした箇所は機械学習の材料とし、AIの精度を高めることで今後、修正箇所は徐々に省かれると思います。
A・Mさん:
この開発を実装することで、これまでの動画編集に比べて、通常の半分以下の時間で動画編集ができるようになり、作業効率は格段に良くなりました。

ー開発をする中で、大変だったエピソードはありますか?

N・Sさん:
番組で使用した横型動画を縦型動画に切り抜くだけでは、放送中のテロップが入ってしまうためそのままの動画素材は使用できず、動画を作り直す必要があります。
動画を作り直すには、「白素材」と呼ばれる元の動画素材と、「黒素材」と呼ばれる実際に放送で使用されたテロップなどが入った動画素材を使用し、この2つを同期させることで動画とテロップを入れるタイミングを合わせるのですが、この白素材と黒素材を同期させることが大変で、何かしら同期させる術を考えなければならなかったのですが、その方法の模索に時間がかかってしまいました。

A・Mさん:
その他に、「白素材」と「黒素材」をAIに読み込ませる環境を整える事も大変でした。「黒素材」はAWSクラウド内にあるため問題なかったのですが、「白素材」はテレビ朝日の閉じられた環境に保管されていたため、クラウドへ移す必要がありました。前例がなかったため、1から環境をつくり転送経路を確保することに苦戦しました。

ー今回の受賞を受け、メディプレの開発チームとして今後はどのような展望を描いていますか?

A・Mさん:
現在、「MovieBlues」という、ライブ配信をしながら配信動画を任意で切り抜き、いち早くSNSに発信することができるシステムを、自社プロダクトとして展開しています。今後は、この機能拡張に注力していきたいです。今回のプロジェクトを通して、動画編集の知識が蓄積されました。これらを踏まえて、テレビ朝日以外の放送局や、他の企業様に利用してもらえるよう、尽力していきたいです。

ーインタビューは以上です。

スマートフォンの普及で縦型動画が増えるなか、ヨコタテくんは、時代に沿ったサービスで、今後ますます広がっていくサービスだと思います。
テレビ朝日の開発協力という形で貢献できて、日本民間放送連盟賞の技術部門で優秀賞を受賞できたといううれしいお知らせを励みに、これからもメディプレの高い技術力で、IT・エンタメ業界の更なる発展を目指します。

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