WAKABADAI PROJECT
東京都稲城市若葉台……
閑静な住宅街に、謎の建物ができたという。
未だ民間人が立ち入ることのできないその建物に、我々の仲間が潜入した。
数日後、あるレポートが発見された。我々は、その驚くべきレポートを公開することにした……
【×月×日 ○○時○○分】
……屋上。
普段は絶対に立ち入り禁止ということで、今回のみ特別の潜入である。
360°のパノラマが広がり、天気が良い日には富士山と東京スカイツリーを同時に見られる、贅沢な眺望である。
この建物がどれだけ心地よいロケーションなのかお分かり頂けるだろうか。
こちらは館内である。什器はまだない。
意味ありげに太陽光を浴びる柱があるのみだった。怪しい。
本当にまだ何もないので早々に退散すると、清潔な通路に出る。
最果てが明るく光っている。怪しい。
廊下を抜けた先は、土足でいるのがためらわれるほどのフローリングであった。
軽くステップ&ターンしたくなるほどに開放的な空間である。何のために? 怪しい。
おや? なんだあれは?
どこかで見たようなキャラクターが見える。
行ってみよう。
段差は低く、そして幅が広く人に優しい階段を駆け下りる。
陽気な太陽に照らされて影を落としているのは、かのエクスパンダ星から来た王子の姿である。
広い。広すぎる。
こんなに広くてどうするのか?
関係者に話を聞いてみる。
――ここは何?
「アトリウムだよ」
ーー何に使う?
「アトリウムだよ」
それ以上答えてくれなかった。怪しい。
怪しいので建物を脱出だ。
その時、足下に違和感を感じた。
王子だ! こんなところに!?
振り返った先にも王子だ!
いったいどれだけの王子が隠れているんだ!?
ん?
なんだあの銀色に輝く物体は!?
「ハロハロ! ボク、ゴーちゃん。」
うわー!
……………………
レポートはここで終わっている。
あの建物はなんだったのだろうか。
我々には、あれが、空気が澄み環境の良い若葉台に、今春オープンする『テレビ朝日若葉台メディアセンター』で、テレビ朝日メディアプレックスのオフィスが入るということ以外、何もわからないのであった。
付記
テレビ朝日の重要な財産もアーカイブされるようだ。今後の展開に注目である。
【文:西島祐一】